冷戦が終結して共産主義の脅威がなくなると、韓国は経済面でチャイナ・シフトを強めるようになりました。



朴槿恵(パク・クネ)前大統領は経済面で中国、安全保障面でアメリカの重要性を認識し、米中両国に取り入ろうとしたが、結果として失敗しました。



かつてのように米中関係が良好であれば問題ないが、現在は違います。米中対立時代です。


 

朴大統領が米中両国を反日に誘導しようとしたのは、反共というイデオロギーが韓国にない以上、アイデンティティーとして反日しか残されていないためです。



天皇を戴く日本と異なり、戦後の韓国は共和制国家として、出発しました。国王がいないため、国家の中枢を支えるのは国軍になります。


 

ところが、反共がなくなったことで軍の秩序が崩れ、単なる利権集団になってしまった。



売春の斡旋や保険金詐欺に手を染め、国民の信頼を得られなくなってしまいました。すでに、金大中(キム・デジュン)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)という親北派の大統領が合わせて10年にわたって政権を担当した間に、優秀な軍人はパージされました。次世代を担う立派な軍人が育つわけがありません。



そして、北朝鮮による対南工作がマスコミや教育界に浸透し、親北の風潮がつくられています。つまり、韓国が安全保障を米国に、経済発展を日本に依存してきたのに対して、北朝鮮は主体思想の下で自主独立の道を歩んできたという宣伝です。


 


そうなると、ナショナリズムの面からすれば、北朝鮮のほうに正統性があることになります。朴槿恵政権打倒運動の中心は親北勢力であり、これから韓国は確実に国家解体の方向へ進むでしょう。



文在寅(ムン・ジェイン)が大統領選挙に勝利したことを一番喜んでいるのは習近平と金正恩です。北朝鮮からすれば、文政権誕生は対南工作の成功を意味するものであり、わざわざ韓国にミサイルを撃つ必要はありません。ただ熟柿が落ちるのを待っていればいいわけです。

 


藤井厳喜・宮崎正弘著『韓国は日米に見捨てられ、北朝鮮と中国はジリ貧』第1章 北朝鮮はどこまで暴走するかーP60

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